死亡後の手続き、やらなければならない「返却や返納」の手続きとは?

人が亡くなった場合の手続きとしては、まず死亡届を役所に提出することが挙げられますが、実際にはそれ以外にも数々の手続きが必要となります。

こちらの記事では人が亡くなった際に必要となる手続きのうち、「返却・返納」について、手続きを行わなければならない人の諸条件のほか、手続きの期限や窓口を含めてまとめて紹介します。

人の死亡後に必要となる返却・返納の手続き

人が亡くなった際に必要となる手続きを内容ごとに大きく分別すると、「1.返却・返納」、「2.名義変更・解約」、「3.請求・申請」、「4.届出・提出」の4つとなりますが、行わなければならない手続きは「返却・返納」だけでも非常に多いもの。ざっと紹介するだけでも、

  • ・健康保険証
  • ・運転免許証
  • ・パスポート
  • ・クレジットカード
  • ・年金手帳
  • ・社員証

などがありますが、手続きには「期限」が定められているものが多く、その期限内に手続きを行うことが求められています。それでは期限の短いものから順を追って説明していきましょう。

5日以内に行う必要のある返還の手続き

次は故人が亡くなってから5日以内に行わなければならない手続きとなります。悲しみに暮れている時期ではありますが、条件に該当する場合はしっかりと手続きを行っておきましょう。

健康保険の資格喪失届を提出し、保険証を返還しましょう

故人が企業などに雇用されていた従業員だった場合は5日以内に「被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出することになっています。

この手続きは「事業主」が行うのが通常であり、遺族が手続きを行う必要はありませんが、健康保険被保険者証の本人分および被扶養者分を勤務先に返却する必要があります。

  • 条件:故人がサラリーマンなど、企業に雇用されていた従業員だった場合
  • 期限:死亡後5日以内
  • 内容:故人の健康保険証を勤務先に返却(被扶養者分があればそちらも返却)

ここで注意が必要なのは、家族が故人の被扶養者となっていた場合です。被扶養者としての健康保険証も故人の勤務先に返却する必要があるため、家族は国民健康保険への切り替え手続き、もしくは別の家族が企業の従業員だった場合は、その家族の被扶養者となる手続きが別途必要になります。

14日以内に行う必要のある返還の手続き

国民健康保険の資格喪失届を提出し、保険証を返還しましょう

自営業者のほか、農業や漁業従事者が加入する「国民健康保険」の被保険者であった場合や「後期高齢者医療制度の被保険者」だった場合、「介護保険の被保険者」だった場合は死亡の翌日から保険証が使えなくなりますので、自治体に保険証を返還する手続きが必要になります。

死亡届を提出することで「国民健康保険」の資格が自動的に喪失される自治体もありますが、そうでない場合は「国民健康保険の資格喪失届」を提出し、保険証を返還する手続きが必要となります。

保険証の返還窓口は市区町村役場となりますので、あわせて「葬祭費」の請求手続きを行うとスムーズでしょう。

また、故人が世帯主だった場合は世帯主変更の手続きが必要になるほか、故人の口座から国民健康保険料を引き落としていた場合は口座変更の手続きもあわせて必要となります。資格喪失届や葬祭費の請求手続きに必要となる書類は自治体によってまちまちなので、必要書類などは前もって各自治体に問い合わせるか、もしくは自治体のウェブサイトで確認しましょう。

介護保険の資格喪失届、介護保険証の返還について

故人が65歳以上の第1号被保険者だった場合は亡くなってから14日以内に介護保険の資格喪失届を提出し、介護保険被保険者証を返還する必要があります。

また、40歳以上65歳未満の第2号被保険者のうち、国の定める特定疾病により要介護認定を受けていた方が死亡した場合も同様に、14日以内に喪失届を提出し、護保険被保険者証を返還します。

手続きの窓口は市区町村役場となります。介護保険料を納めすぎていた場合は、還付手続きを行うことで相続人への還付を受けることができます。提出する書類や必要となる書類については自治体のウェブサイトを確認しましょう。

すみやかに行う必要のある返還の手続き

また、「できるだけ早く」行う必要がある返還手続きとして「身体障害者手帳の返還」、「運転免許証の返還」、「パスポートの返還」などがあります。

これらは明確な期限が定められていないものの、「すみやか」に行うことが求められています。

身体障害者手帳の返還について

自治体によっては14日以内に手続きを行う必要があるとされていますが、身体障害者手帳をお持ちの方が死亡した場合は「すみやか」に身体障害者手帳を返還する必要があります。

返還先は死亡者の住民票がある市区町村役場の福祉課や福祉事務所となりますが、こちらは自治体によって異なるので自治体のウェブサイトを確認して手続きを行ってください。

運転免許証およびパスポートの返納

運転免許証やパスポートは更新手続きが行われなければ将来的には自動的に失効となりますが、免許証もパスポートも「身分証明証」として使うことができる公的書類に該当するため、盗難や悪用のリスクを考えるとやはり返納しておくべきと言えるでしょう。

運転免許証の返納先は警察署もしくは運転免許センターとなり、亡くなった方の運転免許証のほか、死亡診断書の写しや除票の写し、印鑑などが手続きに必要となります。

また、パスポートの返納先は旅券事務所(パスポートセンター)となり、亡くなった方のパスポートのほか、死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書の写しや戸籍謄本等)、さらに手続きを行う方と旅券名義人の関係を証明する書類も必要となる場合があるので、亡くなった方の住民票があった自治体の旅券事務所にあらかじめ確認しておくことをお勧めします。

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