家族が亡くなったら「健康保険」はどうなる?こんな手続きが必要です

健康保険の資格喪失手続きとは、健康保険の被保険者が亡くなった際に行う手続きのことです。被保険者は亡くなった次の日から健康保険の資格を喪失することになるため、故人の健康保険証はそのほか必要なものと一緒に国に返却する必要があります。

故人が加入していた保険証の種類によって手続きを行う期日や手続き内容が変わります。こちらの記事では、健康保険の資格喪失手続きに必要となる書類や手続きを行う期日のほか、誰がどのように手続きを行えば良いのかを解説します。

故人が「健康保険・厚生年金保険」加入者だった場合

被雇用者として企業に属している場合、健康保険や厚生年金保険は企業側が管理してくれています。故人がサラリーマンなどで健康保険・厚生年金保険に加入していた場合、「亡くなってから5日以内に資格喪失の手続きを行う」必要があります。

一般的には企業側が死亡退職届などの手続きと一緒に資格喪失の手続きを行ってくれることが多いのですが、企業の規模によっては遺族が自ら手続きを行うケースもあるかもしれません。

返却・手続きの窓口について

企業側で手続きを行ってくれない場合は企業の所在地にある都道府県の協会けんぽ、あるいは企業が加入していた健康保険組合に赴いて返却する必要が出てきます。遺族は故人が勤めていた企業に確認してみましょう。健康保険証や社員証など、返却に必要なものを教えてくれるはずです。

遺族が故人の扶養家族だった場合

故人の健康保険証を返却すると扶養家族の保険資格と厚生年金保険の資格を喪失することになります。この場合は、新たに「国民健康保険」及び「国民年金」に加入するか、もしくは別の被雇用者の家族の被扶養者になるための手続きを行う必要があります。

故人が「国民健康保険」加入者だった場合

故人がフリーランスや自営業だった方は国民健康保険に加入していたと思われますが、この場合も同様に被保険者は亡くなった次の日から保険資格を喪失することになりますので、故人が亡くなってから「14日以内」に、住んでいる地域の市区町村に対して「国民健康保険資格喪失届」を提出し、健康保険証を返却しましょう。

故人が世帯主だった場合は要注意です

故人が世帯主で、家族も国民健康保険に加入していた場合は、世帯全員分の健康保険証を返却する必要があります。この場合は世帯主変更の手続きを同時に行い、新しい健康保険証を発行してもらう必要があるので要注意です。

故人が「後期高齢者医療制度」の加入者だった場合

故人が75歳以上の方もしくは65歳から74歳の障がいのある方で「後期高齢者医療制度」を利用されていた場合、また介護保険に加入されていた場合は「14日以内」に市区町村の役場の窓口で資格喪失手続きを行い、保険証を返却しましょう。

手続きは窓口でもらえる「資格喪失届」に必要事項を記入し、資格喪失手続きを進めます。国民健康保険と後期高齢者医療、介護保険では資格喪失届が違うケースも多いため、窓口で確認するようにしましょう。

返却するものと手続きに必要な書類とは

返却しなければならないもの

  • ・国民健康被保険者証(世帯主が死亡した場合は、家族分も返却)
  • ・後期高齢者医療被保険者証
  • ・介護保険証
  • ・国民健康保険高齢受給者証

手続きに必要な書類等

  • ・死亡を証明する書類(戸籍謄本や死亡証明書など)
  • ・世帯主の印鑑
  • ・免許証やパスポートなどの「本人確認書類」

などとなります。後期高齢者医療制度を利用されていた場合は、「限度額適用・標準負担額減額認定証」、「特定疾病療養受領証」や高額医療費があれば「相続人の印鑑・預金通帳」も必要になりますので、一通りまとめて準備しておきましょう。

故人が世帯主だった場合や、扶養家族がいる場合はさらに手続きが必要

上述のとおり、故人が世帯主だった場合や、遺族が故人の扶養家族だった場合、返却する保険証は故人のものだけではありませんので注意が必要です。たとえば国民健康保険に加入していた世帯主が死亡した場合は、扶養されていた家族の健康保険の資格も喪失してしまうため、別途手続きが必要となります。

故人が被雇用者で、遺族が故人の扶養家族だった場合

この場合は2つのパターンから選ぶことができます。1つ目は国民健康保険に加入すること、そして2つ目は他の会社員の家族の被扶養者になることです。

改めて健康保険に加入する場合

会社員の家族の被扶養者として健康保険に加入する場合は、「被扶養者となる事実が発生してから5日以内」に、被扶養者となるための手続きとして企業側が健康保険の運営者に「被扶養者(異動)届」を提出する必要があります。扶養者となる会社員の家族と相談、確認を行ってください。

国民健康保険に加入する場合

国民健康保険に加入する場合は、14日以内に「国民健康保険被保険者資格取得届」と「国民年金の資格取得届」の手続きを役場窓口で行いましょう。

世帯主の書き換えには新しい世帯主の本人確認書類や印鑑のほか、家族分の国民健康保険証も返却しますので、ご家族の分も準備しておきましょう。世帯主変更届の手続き期間も、変更が生じてから14日以内となっていますので、資格喪失届と一緒に手続きを行いましょう。

関連記事