お墓の上手な選び方、「お墓の費用」は墓地の経営主体で変わる?

近年の核家族化などを背景に、首都圏を中心にお墓需要が拡大していて、新たにお墓を購入しなければならないという人は少なくありません。現在はお墓の形態も多様化していて、従来の暮石によるお墓だけでなく、納骨堂や海洋散骨、樹木葬など、様々な形態があります。

また、公営墓地や民営墓地など、墓地の経営主体も様々です。お墓を購入するにあたっては、どのような観点で選べば良いのでしょうか。この記事では、お墓選びに失敗しないために、お墓を購入するときに着目すべき観点の1つとして「墓地の経営主体」についてご紹介します。

お墓選びで失敗しないために墓地の種類を知りましょう

墓地2

もし、墓地や霊園が企業のように倒産したり、施設閉鎖となったりしたらどうなるでしょう?これからお墓を購入しようとしている人にとって、自分だけでなく、自分の子どもや孫なども同じお墓に入る可能性があるにもかかわらず、そのお墓を管理している霊園やお寺の経営が困難になり、管理も供養もできない状況になってしまえば、それは非常に大きな問題です。墓地がこのような事態を迎えることは「あってはならないこと」ですが、絶対にないことと言い切ることはできません。

墓地や霊園は「永続性があること」が重要な要素であって、お墓選びにおいては永続性が担保されているかどうかという観点から、墓地や霊園の経営主体をよく確認することが重要です。そして、墓地はその経営主体によって大きく、「公営墓地」、「民営墓地」、「寺院墓地」の3種類に分類することができます。

Q : 墓地や霊園の経営主体は?

A : 「公営墓地」、「民営墓地」、「寺院墓地」の3種類に大別できる

公営墓地とは? 青山霊園、日野墓地など

公営墓地とは、都道府県や市区町村といった「自治体」が運営・管理を行う墓地を指します。自治体が破たんするリスクはゼロではありませんが、墓地の永続性という点においては、3種類の経営主体のなかでもっとも信頼性が高いと言えるでしょう。東京都では多磨霊園や青山霊園が該当するほか、神奈川県であれば横浜市営の日野公園墓地藤沢市営の大庭台墓園が該当します。

公営墓地のメリットは何と言っても料金の安さ

公営墓地の最大のメリットは何と言ってもお墓の永代使用料や年間管理料が安いということが挙げられます。また、宗教や宗派が問われないという点や、墓地の永続性という観点で信頼性がもっとも高いこともメリットです。

公営墓地のデメリットは、希望者が多く抽選となること

公営墓地の申し込みにおいては、居住年数や遺骨が手元にあることなどの「資格要件」が存在することが一般的です。

公営墓地は希望者も多いため抽選となることが多く、東京などの公営墓地においては当選はまさに「狭き門」である点がデメリットです。

Q : 公営墓地のメリットは?

A : 永代使用料や年間管理料が安く、永続性も担保される

Q : 公営墓地のデメリットは?

A : 「資格要件」が厳格で、希望者も多いため抽選になること

財団法人などが経営する民営墓地とは?

財団法人などが経営主体となって運営・管理を行っている墓地や霊園を指します。現在は民営墓地の新設において、各地方自治体によって「永続性が担保されるかどうか」についての厳しい基準が定められており、そうした基準をクリアしている既存の民営墓地は永続性については一定の信頼があると言えます。

民営墓地のメリットは資格要件が問われないこと

公営墓地と違い、「資格要件」が問われないことが最大のメリットと言えるでしょう。生前に墓地を購入しておくことも可能であるほか、自分1人だけの「個人墓」のようなお墓を建てることもできます。

民営墓地のデメリット 費用が割になる傾向

一般的に公営墓地よりも墓地の代金(永代使用料)や年間管理費が割高になる傾向があるという点がデメリットです。そのほか、人気の高い地域にある民営墓地は祭場利用料金や飲食料金も割高になるケースもあります。

Q : 民営墓地のメリットは?

A : 公営墓地のような「資格要件」が問われないこと

Q : 民営墓地のデメリットは?

A : 公営墓地より費用が割高になる傾向があること

お寺が管理・経営を行う寺院墓地

寺

寺院墓地とは、宗教法人であるお寺の敷地内にあり、お寺が管理・経営を行う墓地を指します。その地域に密着し、根ざした存在であるお寺は、先祖代々を祀り、子々孫々がこれから眠る場所としてもっとも安心感を得られる場所でもあります。

一般的にお寺の経営上の信頼性は高いと考えて良いですが、永続性という点については各お寺によると言わざるを得ません。特に近年は全国的に檀家離れが進んでいて、経営が苦しいお寺も増えているからです。

寺院墓地のメリット 行き届いた供養

墓地の管理や供養が行き届いている点が最大のメリットです。公営墓地のように「資格要件」が問われることもありません。

寺院墓地のデメリット 宗教や宗派による制限

寺院墓地は日本人にとって非常に身近な存在であるため、大きなデメリットはありませんが、宗教や宗派が異なる場合は埋葬を拒否されるケースがあります。

Q : 寺院墓地のメリットは?

A : 墓地の管理や供養が行き届いている点

Q :寺院墓地のデメリットは?

A : 宗教や宗派によって制限される場合がある

まとめ:墓地の永続性や信頼性も判断基準に

お墓選びは自分だけの問題ではありません。将来的に同じお墓に入るであろう家族や、お墓の継承者のことも考慮したうえで選択する必要があります。何世代も先の将来においても存続しているであろう墓地でなければ、永代供養を任せることなどできません。そのため、お墓選びにおいては、墓地の永続性や信頼性も判断基準とすることが大事です。

また、墓地や霊園を運営・管理している主体によって、墓地の雰囲気や料金、立地、環境は大きく異なります。失敗しないお墓選びのためには一時的な考えによって決めるのではなく、選択肢となったお墓や霊園などには何度も足を運んだりしながら、熟慮を重ねながら慎重に決めることが重要となります。

失敗しないお墓選びのためには

墓地の永続性や信頼性も判断基準とし、熟慮を重ねながら慎重に決めましょう

お墓の購入を検討している場合や、費用の相場や平均額について知りたい方は、【お墓の費用】平均額や相場はいくら?お墓購入に必要な額はを参照ください。

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