姑だけは一緒の墓に入れたくない!夫や子供とは同じお墓は可能?

お墓をめぐっては、「お墓に誰が入るか」という内容のトラブルが起きることが多々あります。

家族間であっても人間関係が複雑になってしまうと、仲の良くない人同士が「一緒のお墓に入るのは嫌だ」といった問題が浮上してくるケースがあるようです。

姑とだけ墓を別にしたい嫁の場合

前回の事例では、「嫁いだ女性が実家のお墓に入れるかどうか」などについて解説しましたが、当記事では「特定の誰かと一緒のお墓は嫌だ」といった問題が起きた場合の円満な解決方法について探ってみたいと思います。

姑が埋葬されているお墓には一緒に入りたくない
couple

Aさんは東京在住の55歳の女性です。Aさんはこれまで夫と子ども、義理の両親と同居していましたが、仲の悪かった姑が数年前に他界し、姑は家族代々の墓に埋葬されました。

自分の老後について考えていたAさんは、仲の悪かった姑が埋葬されている家族代々のお墓には一緒に入りたくないと思うようになりましたが、夫や子どもとは同じお墓に入りたいと考えています。

Aさんのケースでは、姑がすでに亡くなっていて、遺骨が家族墓に埋蔵されているという点がポイントになります。

Aさんも今後何もしなければ、姑と同じお墓に埋葬されることになりますので、Aさんが姑と同じお墓に入るのをあくまでも拒否するのであれば、Aさんができる対応策は大きく分けて、

  • 1.姑の遺骨を家族墓から移す(改葬する)
  • 2.Aさんは家族墓以外のお墓に入る

上記の2つとなるでしょう。家族間のトラブルを避けつつ、Aさんの希望を叶えることは果たして可能なのでしょうか。上記それぞれの方法について、その対応方法や是非を見ていきましょう。

姑だけを別のお墓に移したい

所定の手続きに則って行えば、特定の遺骨を別の場所に移すことは可能です。

遺骨を移すことは「改葬(かいそう)」と呼ばれ、新しい埋蔵先を用意したうえで、役所での手続きによって埋蔵(埋葬)許可書または収蔵証明書(納骨堂などの場合)の取得が必要となります。

一方で、改葬においては宗教儀式が行われることが一般的であり、宗教儀式の費用も発生しますので、新しい埋蔵先と併せて、それなりの費用が発生することになるでしょう。

改葬には永代使用権を持つ人の許可が必要

また、Aさんの場合は夫の家に嫁いだ立場であり、永代使用権を持つ立場(先祖の祭祀をつかさどる地位)にないため、姑の遺骨を移動させるうえでは夫やその他親族など永代使用権を持つ人の同意が必要となります。

Aさんと姑の関係だけを理由に、姑の遺骨を改葬するというのは現実的には他の家族の同意が取り付けられない可能性もあり、もしかしたら難しいかも知れません。

Q : 特定の誰かの遺骨を移動するのは?

A : 各種手続きや各種費用が発生します。本当に移動が必要かどうかで判断すべきでしょう。

また、遺骨を移動するということは非常にデリケートなことです。永代使用権を持つ人の承諾を得なかったり、役所等での正式な手続きを行わず、勝手に遺骨を移動することは大きなトラブルにつながり、墳墓発掘死体損壊等罪に問われる恐れもあるので注意が必要です。

姑以外の家族(夫や子供とだけ)お墓に入る方法

家族

Aさんの家の代々のお墓には、すでに姑の遺骨が埋蔵されていますので、Aさんが代々のお墓に入ることを拒否するのであれば「Aさんが家族墓以外のお墓に入る」という選択肢もあります。

ただ、Aさんは将来的には夫や子どもなど自分の家族と一緒のお墓に入りたいと考えており、こうした場合は「Aさんの遺骨を埋蔵したお墓」に、「夫や子どもの遺骨を入れる」ことで解決できそうです。

自分用のお墓を用意し、遺言を遺しておく

つまり、Aさんは生前に自分用のお墓を用意したうえで、遺言等で「死後は遺骨を新しく用意したお墓に入れる」よう予め遺しておくのです。

その後、夫や子どもの遺骨も「代々のお墓」と「Aさん用のお墓」の間で分骨し、両方に入れるという対応策がもっとも自然でしょう。

また、こうした場合のお墓については家族墓のような規模の大きなお墓ではなく、「納骨堂」や「樹木葬」のような規模の小さなお墓であれば、コスト的にも安価であるため負担が小さくて済むでしょう。

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