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お墓参りのマナーや正しい作法をご存知ですか?

お墓参りのマナーやルールは厳格なものではありませんが、ある程度の常識を知っておくと恥をかくこともないでしょう。日本では葬儀の大半は仏式で行われており、お墓参りもほとんどの家庭が仏式で行っていますので、当記事でも「常識の範囲内で知っておきたい仏式のお墓参りの方法やマナー」について紹介します。
まず口と手を清めましょう

寺院墓地または共同墓地にお墓がある場合、手水舎(ちょうずや)があれば、まず口と手を清めます。手水舎とは参拝する人が身を清めるための場所のことです。水が流れ出ていて、その水が大きな水槽にためられ、ひしゃくが置いてあります。清め方にはルールがあり、正しい方法は以下の手順で行います。
手水舎での清め方と順序
まず右手でひしゃくを持って水をくみ、左手から洗います。次にひしゃくを左手に持ち替えて右手を洗います。右手を清めたら、再度ひしゃくを右手に持ち替えて、左の手のひらに水をためて、その水で口をすすぎます。
次に、左手を軽く洗ってから、ひしゃくを清めるために残っている水が柄の部分に流れ出るようにひしゃくを立ててから、元の場所に戻しましょう。この一連の動作は、ひしゃくにくんだ1杯の水ですべて行います。そのため、水を最初の手を清める段階で使い過ぎないようにしなければなりません。なお、墓地に手水舎がない、あるいは使用できない場合は行う必要はないとされています。
寺院の御本尊などに礼拝しましょう
寺院にはどこでも本堂があり、ご本尊が祀られているものです。いきなりお墓に向かうのではなく、まずは本堂の前で一礼してご本尊を拝むのが正式です。また、共同墓地に阿弥陀や釈迦の像などがあれば同様に拝みましょう。もし、共同墓地に礼拝する対象がなければ行う必要はありません。
お墓を清掃し、礼拝しましょう
故人が眠っているお墓へ行き、最初に両手を合わせて一礼します。次はお墓とその周りの清掃です。まず墓石の汚れを落とし、お墓の周囲のゴミや雑草を取り除いてきれいにしましょう。花立てや線香立てに以前のお墓参りで供えた花や線香の燃え残りなどが残っているようであれば取り除いてきれいにします。最後に、墓石にきれいな水をかけて清めます。宗派によって線香立てがないお墓もあります。
お供えするお花やお菓子の準備

きれいになったお墓にお花を飾り、お菓子などをお供えします。なお、お盆やお彼岸にお墓参り行き、寺院にお盆やお彼岸の供養料(お布施)を渡すと、通常であれば卒塔婆(そとば)がもらえます。卒塔婆がもらえたときは、お墓をきれいに掃除した後、お花やお菓子を供える前に卒塔婆立てに立てます。寺院には卒塔婆を作っていただいたことに対して感謝の意を込めて無地の袋に入れて心付けを寺院にお渡しします。
卒塔婆とは塔婆(とうば)とも呼ばれ、故人の供養のために故人の戒名や供養する人の名前が書かれた細長い木の板です。1メートルをこえる大きな卒塔婆もありますが、通常のお墓参りで寺院からもらう卒塔婆は40センチほどの長さの非常に薄い木の板です。寺院に卒塔婆を作ってもらったお礼としては塔婆料、地域や寺院によって、また檀家(だんか)によっても異なるので一律にいくらとはいえません。また、卒塔婆は宗派によっては使用しないのでその宗派(浄土真宗)であれば何もする必要がありません。
線香をお供えして、合掌・礼拝しましょう

ろうそくに火をつけて、その火で束の線香にも火をつけ、火が付いたら手であおいで線香の炎を消します。このとき、息を吹きかけて線香の炎を消すことは、ご先祖様や仏様への不浄の行為となりますので、手で仰いで消すようにしましょう。合掌・礼拝の準備ができたら、次は礼拝です。複数の親族でお墓参りをしたときは、原則として血縁の濃い年長者の順に合掌・礼拝を行います。それぞれが線香立てに線香を供えて先祖に思いを寄せつつ、お墓よりも低い姿勢になって合掌・礼拝します。家庭によっては複数のお墓がある場合もあるでしょう。その場合は、すべてのお墓を掃除し、お花、線香をあげます。また、線香立てがないお墓では、線香を寝かせてお墓に供えます。
後片付け ゴミは持ち帰りましょう
供えたお花、卒塔婆はそのままにして、お菓子は片付けて持ち帰るのが良いでしょう。カラスなどに荒らされ、ゴミが散乱してしまうことを防ぐためです。また、お墓やその周囲を清掃したときに生じたゴミも持ち帰りましょう。これがお墓参りの一連の流れと常識の範囲内におけるマナーとなります。
お墓参りのときの服装は?どんな服を着れば良い?

法事などの仏事に合わせてお墓参りするときは、仏事にふさわしい服装をすることを優先して、その服装のままお墓参りをおこないます。仏事とは関係なくお盆やお彼岸、あるいは月命日などにお墓参りをするときは、ごく普通の普段着で問題ありません。ただし、親戚や友人・知人のお墓参りを行うときは、そのお墓の親族に会わないとも限らないので、少し改まった服装にしないと礼を失します。
お墓参りをする特定の日はある?

お墓参りには行かねばならないと決められた特定の日はありません。故人を思い出した時など、いつでもお墓参りをしたい時にすべきでしょう。ただ、一般的に行った方が良い時期には以下があります。
春と秋のお彼岸
毎年3月20日または21日の春分の日を中日として前3日、後3日の計7日間が春のお彼岸です。秋のお彼岸は、9月23日の頃の秋分の日を中日とし、前3日、後3日の計7日間が秋のお彼岸です。なお、春分の日、秋分の日の両方とも毎年同じ日になるとは限りません。なお、お墓参りに行かなくてもお彼岸の最初の日と最後の日には、仏壇の両側にお団子を供えるのが一般的です。そして、お彼岸の中日(春分の日、秋分の日)には、おはぎ(または、ぼた餅)をお供えします。
お盆
お盆は8月13日から4日間、地域によっては7月13日から4日間です。お彼岸と同様に仏壇に野菜、果物、団子、おはぎやその他のお供えをするなど地域によって、いろいろな慣習があります。
年末年始
地域によっては、お墓参りを新年にはしないとか、年末ぎりぎりはしないとか、年末年始にしない地域がありますが、多くの人がお墓参りをしています。お墓参りは先祖に感謝の意を表すことなので、お墓参りをしてはいけない日はなく、いつお墓参りをしても良いというのが一般的です。
お墓参りに持って行くべきものとは?

合掌・礼拝用
数珠、お線香、ろうそく、お供えのお菓子など、お花、水(おけまたは容器)、ライター(マッチ)、花切りはさみ
掃除道具
ぞうきん、ほうき、軍手、バケツ、たわし・スポンジ、スコップ、ゴミ袋、草刈り鎌など
まとめ:お墓参りで大切なことは
お墓参りでは、正しい手順よりも先祖に感謝を示すこと、個人を思い偲ぶことがもっとも大切です。仏式のお墓参りの正しいとされている方法やマナー、ルール、手順は地域や宗派、それぞれの家庭によって大きく異なるものですが、どうすれば良いか迷ったときの参考として下さい。